linzeの日記

考察はただの感想文です。

拾遺和歌集 いかばかり思ふらむとか思ふらむ

333 いかばかり 思ふらんとか 思ふらむ 老いて別るる 遠き別れを

 

作者

清原元輔(きよはらのもとすけ)

 清少納言の父。三十六歌仙の一人で、梨壺の五人の一人。百人一首に「契りきな かたみに袖をしぼりつつ末の松山 波越さじとは」の歌が入選している。

現代語訳

 あなたはどれだけ悲しいと思っているのだろうか。年老いて訪れた、この別れを。

考察

 「思ふらんとか思ふらむ」の文章がややこしい。後の「思ふらむ」は、「(わたしは)思っている」として、一つ目の「思ふらん」の主語は「あなた」だろう。だからこの文を通すと、「あなたは思うのだろうとわたしは思っている」となる。

 年老いてからの別れをあなたは悲しんでくれていますか(わたしは当然に悲しいですよ)。語り尽くせない自分の気持ちはあえて詠んでいない。分かり合った長年の友の気持ちを推量することで、自分の寂しい気持ちを表現しているのだ。語順が倒置法であることで、二度は会えないかもしれない別れであることが強調されている。